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「達裄君、俺と友達になって欲しい」
「なんだよ、お前男の声にもなれんじゃん。まぁよろしくな」
ここで初めて俺はダチを名乗れる気がしてきた。
いや、本当は親友を名乗りたいけどまだ早いかなって思ってる。
「しかし1人暮らしっていいな」
テレビの電源を付けながら達裄君は羨ましそうに部屋を見渡す。
「隣の住人とかうるさいもんですけどね」
「俺は家がうるさいからな……。常に誰かは家に居るんじゃねーかってくらい妹が居るからな」
「賑やかで良いじゃないですか」
「男の時間を見繕うのが大変なんだよ……。迂闊に変なDVDも視聴できねぇ……」
まぁそれは1人暮らしのメリットだよね。
少し達裄君に同情を覚えたが、達裄君はテレビをぼーっと見ていて気にしてない風である。
「ドーナツ食いてえな」
ドーナツチェーン店のCMが流れた。
「次歩夢の番な」
「なんのゲームこれ!?」
多分次のCMを当てろゲームとかそんなのだと思う。
「保険の見直ししておくべきですよ」
保険のCMで子供と女優が出ているCMに切り替わる。
「最近のオススメのアプリって何かね?」
スソシャゲアプリのオタク向けなCMが流れた。
「寿司食べたいです」
無情にもランドセルのCMが流れてしまった。
最近のは青とか緑とかカラフルになりつつあるらしい。
黒いランドセルを背負わされた小学生時代の屈辱が甦った。
「歩夢の負けな」
「ってなんですかこの運ゲーは!?知らないですよランドセルとか……」
「発案、リーフチャイルド」
「嘘付かないでください」
なんでもかんでもリーフチャイルドの名前を出せば良いってもんじゃないですよ全く……。
そんな嘘に俺は釣られません。
「ありゃ、葉子発案ゲームは歩夢には不評だったか」
ほら、達裄君の妹さん発案ゲームだ。
姉に巫女さん。
妹に音さんとよく名前が上がる葉子さんは覚えたがまだ半分近くの名前を知らない妹さんが達裄君の元にいるってマジで凄いな。
「達裄君って兄妹多いですよね」
「多いかもな。でも前の学校のボッチ仲間で30人兄弟の23番目とかいう奴居たからな。それに比べたら全然だよ」
「野球メンバー3チーム分ってヤバいですね……」
お姉ちゃんと俺と妹野郎3人姉弟だがその10倍の人数が兄弟って精神病みそうだな……。
俺はお姉ちゃんが居て幸せだ。
実家に住んでいる姉が恋しい……。
「なんか妹の顔見たくなったから帰るわ」
謎理由で帰宅していった。
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