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達裄君が帰って行き、明日の準備を済ませて、食事をして、風呂に入る。
そして寝るまでの間暇になる。
「私はすごく暇です……。達裄君にラインでも送りましょう」
そもそもIDを知らなかった……。
「ぅぅぅ……、私は親友失格だよぉ……」
連絡先を知らない自分に泣いた……。
そんな時、俺のスマホが鳴ったのに気付く。
「誰かな……?」
名前の表示には『深森濃姫』の文字があった。
お、お姉ちゃんだ!
一瞬で既読を付けた。
『こんばんは、お姉ちゃんよ
元気にしてたかしらわたしの可愛い歩夢
そろそろお姉ちゃんが恋しい頃かと思ったのだけれど余計なお世話だったかしら?』
そんなん返事は1つに決まっているではないか。
『そんな事ないですよお姉ちゃん
わざわざ私の為に心配してラインをくださりありがとうございます
余計なんてお姉ちゃんに抱く筈がありません
是非今度私に会いに来てください』
スタンプも2個くらい送って返送する。
お姉ちゃんもすぐに既読を付けてくれた。
『フフフ、いつまで経っても貴方はお姉ちゃんっ子なんだから可愛いわね
どうしてそんなに可愛い美少女に育ってくれたのかしら
今度GWになったら妹の霞と一緒にアパートに遊びに来ますわ』
妹の名前は深森霞。
語ることなど1つもない。
『霞はどうでもいいけどお姉ちゃんが来る日を楽しみにしてます』
GWに最愛のお姉ちゃんに会えるのだ。
これは明日の野外キャンプも無事に帰って来なくてはならないな。
その為にも早く寝ないとな。
明日は早起きして学校行かないといけないって委員長から念を推されたし。
ベッドに入り込みながら目を閉じる。
『キャハハハハ』
隣の住人らの騒音がうるさくて眠れなかった。
顔は知らないけど今月の頭に引っ越してきた住人。
俺の部屋は角部屋なので上か東隣からの騒音しか届かない。
多分OLなのか夜に酒飲みを交わしながら同僚と騒いでいるらしい。
たまにそれに悩まされている。
ムカつくな、早く寝たいのに……。
イライラしながら部屋の窓を全開にしてCDコンポの電源を付けてディスクを入れ込んだ。
ドゥドゥドゥドゥドゥドゥー、と少しホラーチックな前奏が始まる。
音量を隣の部屋にだけ届くぐらい絶妙な音量でシューベルトの魔王をかけてやった。
すぐに隣のOL達はざわざわしてきたのがわかる。
俺は魔王を聴きながら眠りへと落ちていったのであった。
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