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毎日傷が増える。
エステをしたり、肌を荒らさない努力をしているのにこんな馬鹿共のせいで一瞬で無駄になる。
「男の格好してこいよ。まぁそしたらそしたで爆笑してやるけどさ」
醜い笑い声が耳障りだ。
俺がお前に何をしたんだ?
横山君がチャラチャラとアクセサリーを付けて坊主にして容姿を気にしているのと同じで、俺もただ自分の容姿を気にしている行為と同じ筈だ。
それが、男っぽいか女っぽいかってだけで差別されなくちゃいけないのか……?
「おいおい、朝から振られた腹いせか横山」
「うーっす中尾」
「な、中尾君……」
虐め主犯の2人が揃ってしまった。
去年も同じクラスで2人のからからかいから始まり暴力が始まった。
教師側の学校中に行われている虐めの認知率のやばい学校というのはどこの学校も同じなのかもしれない。
他に数人からも暴力を受けていたがそいつらは別のクラスへと移動になった。
しかし、2人の顔は広いのか既に新しいクラスの顔も覚えていない奴らからの暴力は止まらなかった。
「通行の邪魔なんだよキモ男!」
「がっ……」
中尾君の腹ど真ん中の蹴りが気持ち悪いくらいに気持ち良く入り、今朝食べたパンを吐き出しそうになり噎せて地面へと崩れ落ちる。
「なぁ賭けしようぜ中尾。こいつがチェリーかどうかでさ」
「じゃあチェリーで」
「おいおい、それじゃあ賭けじゃねーよ」
横山君が俺の手の指を踏みつけて体重を掛けている。
「深森!てめえはチェリーかどうか正直に答えろよ、10秒かかることに指をもう1本ずつ踏んでいくからな」
既に指を3本踏まれた状態である。
「チェリーです……」
「ぶひゃひゃ」
「ぶっははは!即回答っててめえにはプライドは無いのかよ!」
最後に思いっきり横山君に指を全部踏まれてそれで満足したのか俺の前から姿を消していった。
「……っ」
なんで俺だけがこんな仕打ちを受けなければならないんだ。
俺には頼れる友達も不在でクラスの中でのピラミッドの真下中の真下なのは語るまでもない。
「いてて……」
指の皮が剥がれている悔しさ。
傷付くのは一瞬なのに治るのは時間が掛かり過ぎる。
「なぁ……、お前……」
「ひぃっ、すい……すいません」
「あん?何怯えているんだ?大丈夫かお前?」
面倒そうな顔をした男が俺に手を差し伸ばす。
「…………」
俺は彼からも攻撃をされるのかと身構える。
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