2/8
前へ
/73ページ
次へ
周りの森はドラゴンが放ったファイアブレスで燃え上がっていた。 エッカートが対魔法防御の施された両手剣で弾き返した結果だ。 夕暮れ時にドラゴンの巣を見つけ、戦闘を開始してから1時間弱。 すでに空は漆黒に染まっているはずの時刻だが、 煌々と燃え上がる炎の直接的な光と、立ち込める煙が間接照明のように照らす淡い光で、 戦い始めよりむしろ明るくさえある。 だが、周りの炎で熱せられているエッカートの体は凍えていた。 握りしめた自分の左拳から、氷の棒が伸びているからだ。 その氷の棒を、対峙する巨大な赤いドラゴンの地上から数mにある頭部に向けて力まかせに投げつけた。 アイススピア。 手元で作った棒状の氷の矢を相手にぶつけ、極低温のダメージを与える魔法だ。 投擲目標のドラゴンの頭部は、高さだけでも1m以上はある。 眉間に向けての投擲だったが、多少狙いがずれても十分ダメージを与えられるはずだ。 高速で一直線に飛んだアイススピアが見事ドラゴンの眉間に当たる。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加