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ドラゴンは咆哮を上げ、長い首をよじらせながら翼をバタつかせる。
「お前たちが居座ると碌なことがないんだよ」
エッカートは魔法の威力を怒りの言葉で補うように叫びながら再び剣を抜くと、
二十メートル以上あった間合いを一瞬で詰め、
両刃剣を大上段から力の限り振り下ろす。
ドラゴンの首に微かに触れたように見えた剣先が縦に赤い細い線を引くと、
直後に鮮血が薄い膜のように吹き出した。
返り血で嫌悪感を与えられる前に、エッカートはバックステップで再び数メートルの間合いを取る。
一呼吸置いてから今度は直線的に剣を突き出す。
首の付根の少し下、鍔まで刺した剣を下に押し下げながら引き抜く。
先程の首の流血がかすり傷と思わせるくらいのバケツを引っくり返したような大量の流血がエッカートに降りかかる。
今度は表情を変えずに返り血を浴びている。
ドラゴンは首を持ち上げる力すら無くなり、自らの血でできた血溜まりに頭から崩れ落ちた。
頭が落ちた勢いで、血溜まりに大きな血の花が咲いた。
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