雨の日のバス停

「あの～、お名前聞いてもいいですか？」

僕が思い切って質問すると、女性は何の躊躇もなく教えてくれた。

「うん、私の名前は『如月 舞』っていうの…

　舞は、桜の花が舞うの舞！」

女性は笑顔で話してくれて、僕は女性の美しさと優しさに魅了されていった。

「お仕事されているんですか？」

「ううん、女子大に通っているの…

　今１回生だけどね！」

僕には少し大人びて見えた女性に、少し失礼な質問をしてしまったのではないかと後悔した。

僕が道案内しながら自宅の前に到着して、

「僕の家はここなんです。

　本当にありがとうございました。」

とお礼を言うと、女性は笑顔で、

「いいえ、どういたしまして！

　じゃあね！」

と言ってもと来た道を歩いて行った。

僕は玄関の前の屋根の下から女性が見えなくなるまで見送っていた。

僕は女性のことが気になって、女性の事がなかなか頭から離れなかった。

その日は、パトカーと救急車のサイレンがけたたましく鳴り響き、何か事故でもあったのかと僕は感じていた。