「暗い夢」サイトシリーズ④ 「F」 - 1

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ら一か月ももちゃしない。 今の自分がいる場所は、自力で食料を調達できるような場所じゃない。 3畳程度のこのスペースの端には、用を足すことを考慮して掘られたのか穴があけられている。これは俺があけた穴じゃない。 しかも水と食料が、一日三回だけ布袋に入って上から投げ落とされてくるのだ。 その誰かが俺の呼びかけに応じてくれたら、こんな場所ともおさらばできるのだが、 その「誰か」は俺の存在に気付きながら、簡単に俺を引き上げようとはしていない。 その意図が何かは正直完全に理解できないだろうが、一つだけ言える。 俺は今、この妙な空間の中で「誰か」に飼われているってことだ。 まわりには他に誰もいないだろうからションベンは普通にしていたが、クソもするようになった。クソした後に布袋をつかって尻を拭き、残しておいた水で流す。 それも当たり前になった。 投げ落とされる食料は、焼かれた何かの肉。 味付けはしてないみたいだ。 最初は味が薄すぎて食えたもんじゃないので水で流し込んでいたが、 最近はかすかな塩気を感じるようになった。 それと、なぜかラベルがはがされたペットボトル入りの2リットルの水。 ラベルがあれば、その記載内容やデザインからどこにいるのかが予想できるのにな。 布袋を引き裂いたものをロープのようにできないか考えた。 その先にそのあたりにある石をくくりつけて上に投げれば、登るためのロープになってうまく出れるんじゃないかって。 でも最初にそう考えたときに、雨が降り始めた。 雨は井戸口にあたるところから容赦なく降り注いだので、布袋を割いたものと残しておいた布袋で雨風をしのぐようにレインコートのようなものを作った。 耐水性があったのでよかったが、そこから登ることを躊躇するようになった。
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