2人が本棚に入れています
本棚に追加
「暗い夢」サイトシリーズ④ 「F」 - 1
あれから、何日経過したかは覚えていない。
今はもうそんなことを考える気力はなくなった。
枯れた古井戸のような場所に投げ落とされてから、もう数か月は経つ。
それまでは何故か眠っていたのだが、投げ落とされて地面落下寸前になってやっと目を覚ました。
すぐに反射的に身体を守ろうとしたのが幸いした。
下は砂地になっており、井戸口にあたる部分から投げ落とされたのだが
骨折などはなくて全身を打っただけで済んだ。
一瞬、上で見たのは布袋をかぶった男。
すぐに立ち去った。
自分のまわりを囲むのは、積み重ねられた石の壁。
それが、15mくらいはあるだろうか。
いや、そこまではないかもしれないな。
何度もその壁をよじ登っていこうとしたが、途中で手の力がなくなって下に落ちてしまう。
爪は割れ、手の皮は何度もむけている。
そして、今はよれよれの汚れたYシャツとスラックスを身に着けているだけの俺。
何日も風呂に入っていないからホームレスのような体臭がしていたのだが、今では気にならなくなった。
靴と靴下は水虫になることを心配して、今の状況開始から2日経過した時点で脱いだ。
こんなことなら、少しでも身体を鍛えておくんだった。
「おーい、誰かぁ~。誰か、いるんだろぉ?取引しないか~!?」
井戸口にあたる部分や、その上にいるであろう「誰か」に向かって一日数回叫ぶ。
これが今の日課だ。
今も「誰か」いるであろうってのが、ミソだ。
もし自分が今の場所にいるとして、ふつうな
最初のコメントを投稿しよう!