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なにやらルークが少しずつこちらににじり寄って来て、俺は思わず後ずさった。
「根拠とか分からないけど、勘?サクヤは俺ともう1人友達とかいて、どっちかしか選べないって時には大概オレの方選んでくれてる気がするから」
それはあながち間違っていない事実で俺は俄かに口ごもる。
「だからサクヤも気が付いてないだけで、オレの事好きなんだよ」
ルークはにっこり笑って断言するが、そんな事あってたまるか。
俺はお前と違って友情と愛情の違いくらい分かってる。お前の世話をし倒してしまうこの俺の感情は友情もしくは父性愛であって、決して恋愛要素を含んだ愛情ではない。
ってか、マジ顔近いんだけど…うわぁ、やめろ、俺にその気は無いって言ってるのに…
俺は寄ってきたルークの顔を思わずがしっと掴んで、力任せに押しやった。
だってなんかキス…とかされそうだったし、そんなの友達にする事じゃない。
なのにルークはその押しやった俺の掌にちゅっとキスを落とすのだ。
うわぁぁぁ…マジか…ヤバイ、なんか凄くヤバイ気がする!
「なぁ、ルーク、まずは落ち着け。一時の気の迷いで友達関係まで壊すのはお前も嫌だろ?」
「オレは落ち着いてるし、気の迷いでもないよ」
だったら尚更事はもっと慎重に起こすものだろう、ここは台所だしすぐそこには包丁だって転がってる、下手な事したら刺すぞ、マジで。
ってか、こんな所で押し倒されるとか本気で嫌なんだけど、誰か助けて。
本気でもう駄目だ…と思った時、ゴンゴンと家の扉を叩く音。
助かった…と俺はその扉に視線を走らせたが、ルークは知らん顔でその扉を叩く音に反応をみせない。
「だっ、誰か来たみたいだぞ?出ないと駄目だろ…?」
「放っておけばいい」
いやいやいや、そういう訳にはいかないだろ?ってか、外の人マジ助けて、誰でもいいからその扉開けて!!
『おーい、ルークいないのか?ったく、困ったな…』
だが、扉を叩くその人物の声が聞こえるとルークはがばっと身を起こし、俺には目もくれずに扉へと駆け寄って行く。
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