嘘つきの恋

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「ハル、お前の方こそ俺を一体どうしたいんだ? 俺の事をどう思ってる? どうせお前はこれで自分の武勇伝が増えたくらいにしか思ってないんだろう?」 「武勇伝って何さ! オレはそんなの考えてもない、ただオレはお前がオレを信じてくれないのが悲しくて悔しくて仕方がないだけなんだ」 「お前のどの口がそれを言う? 俺を信じてないのはお前の方だろ!」 「だって、サキはオレを淫乱だって言う……違うのに、信じてくれない」 何だか本当に泣いてしまいそうだ、確かにオレの身体は行為の最中サキに反応してぐずぐずに乱れていた、けれどそれは相手がサキだったからで、誰を相手にしてもそうなっている訳ではない。というか、そもそもオレは本気でサキ以外に身体を開いた事もないというのに、サキは全然信じてくれない。 淫乱だってしょうがないじゃないか、だってそれがΩの性なのだから、好きでこう生まれついた訳じゃない! 「信頼関係のない番契約なんてお互い辛いだけだろう?」 オレの言葉にサキは大きな溜息を零す。 「契約の解除はお前の命を削る、俺はやらない。それにな、ハル、お前は簡単に契約解除って言うが、これはそんなに簡単に解除できる契約じゃないんだよ、それこそαが番の契約を解除するというのは新たな相手と契約するって事でな、今現在俺にそんな相手はいやしない」 「え…そうなの? これって、そういうモノなの?」 オレが項の噛み傷を撫でてそう言うと、サキはまた大きな溜息を零した。 「両親から聞いてないのか?」 「うちの親、昔っから出稼ぎ多くて、ほとんど帰ってこないの知ってるだろ……」 「じいちゃんとか……」 「そんなの誰も教えてくれなかったよ」 またしてもサキは大きな溜息、なんかもう物凄く呆れられてる? だって本当にそんな事、誰にも教わった事ないんだから仕方ないじゃないか。 オレが聞いているのはΩが項を噛まれると番の契約がされてしまう事と、αからなら一方的に解除ができるというそれだけだ。
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