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「普通に抱いて欲しかった、もっと愛されて睦み合って抱かれたかった!」
「……お前の言う、普通が俺には分からん。アレだって求め合っての結果だっただろう!?」
「でも、サキはすごく乱暴だった! オレの言う事何も聞いてくれなかった!」
「乱暴……だったか? だとしたら、すまん。正直あの時は我を忘れて暴走した自覚はある」
怒っていたはずのサキが急に困ったような表情になって、とても素直に謝られた。
「お前を泣かせる程乱暴だったか? お前も充分感じていると思っていたんだが……」
困惑気味のサキの表情、なんでそんな顔になってるの?
「俺だって初めてでな、加減が全く分からなかったんだ、少しくらい乱暴だったとしても、そこは許してくれてもいいじゃないか」
「……嘘……」
「何がだよ?」
「サキが初めてとか絶対嘘だろ」
サキがまた盛大に溜息を零した。でも、だって、そんなの絶対信じられない!
「俺が今まで、どこかの誰かと付き合った事あったかよ? この小さな村で、そんな話、お前は一度でも聞いた事あったか?」
「それは、ないけど……」
「俺はお前が好きだった、だから誰ともやる気はなかった、お前がやったと言った誰一人ともやってみたいとは思わなかった。お前は嘘を重ねすぎた、この村にお前がやった事がないと言った人間がどれだけの数いる? ほとんどいやしないだろう?」
確かにそれはその通りだ、けれどこの村の倫理観はとても緩くて、そんな身持ちも堅く童貞処女を守り通している人間なんてそうはいない。
「でも、サキは外に行けば相手なんて幾らでも……」
「お前は外に出ないから知らないかもしれないが、俺達の黒髪は外じゃ本当に酷い差別の対象だぞ? そもそも相手にされもしない」
「でも、外で結婚してる村人だっているじゃないか!」
「それは外で『運命』と巡り合った一部の人間だろうが! お前はなんでこの村がこんな緩い倫理観でやっていると思ってるんだ、外に出ても子孫が残せない、だから村を維持していく為にこの形なんだって、気付いてなかったのか!」
「オレ、外、出ないもん……」
頭ごなしに怒られて、拗ねたように言ったら、サキはまた困ったように頭を抱えた。
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