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「ルイちゃん、久しぶり」
そう言ってその人はあたしの頭を撫でた。
あたしが赤ちゃんの頃からちょこちょこ家に遊びに来ては、あたしや弟のユリと遊んでくれるそのお兄ちゃんがあたしは大好きなのだけど、お兄ちゃんがうちに来ると、何故かママは少し困ったような顔をする。
パパはお兄ちゃんが好きではないようで、パパが家にいる時はお兄ちゃんはいつも追い帰されていてちょっとかわいそう。
パパはいつでもにこにこしてるんだけど、お兄ちゃんが来た時だけはいつも怒ったような顔をしていて、それがなんでなのかルイにはよく分からない。
お兄ちゃんいい人なのに、なんでなのかな?
今日はそのルークお兄ちゃんともう一人お客様がいるみたい。
お兄ちゃんはいつも一人で来る事が多いのに、珍しい。
もう一人のお兄ちゃんにも少しだけ見覚えがある、裏に住んでるシキ君達のお兄ちゃん。
本当は『おじさん』って言うみたいだけど、まだ若いからお兄ちゃん。時々シキ君達のおうちで見かけるからルイも知ってるの。
「ママ、いる?」
「うん、呼んでくるね」
あたしは奥の部屋で片付け物をしているママを呼んだ。
ママは2人の顔を見て少し驚いたような顔をしていた。
2人は笑ってママに「報告」に来たんだって。
「正式にお付き合いする事になりまして、今まで散々ご迷惑かけていた謝罪に来ました」
「へ?…や、別にいいけど。そうなんだ…驚いた。けど、良かったな」
ママが言うとルークお兄ちゃんは照れたように笑った。
「お付き合い」ってなんだろう?あとでママに聞かなくちゃだわ。
「それでこれからどうするんだ?一緒に暮らすの?」
「はい、それなんですけど、ちょっとご相談が…」
ママは首を傾げる。
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