第一章

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 明らかに戦意を高揚させるためのパレード…だが、それにしては聴衆の熱狂ぶりが、どこかおかしい。心の底から奮い立っていると言う訳ではなく、どこか演出されたものを感じさせる。だが、そんな事よりも俺は奇妙な感覚に囚われていた。パレードを解説する異星の言葉や文字、最初は何を言っているのかまるで解らなかったのに、気付いたら、少しづつ意味が理解できる様になって来ている。  『何だこれは…』今ではもう、ナレーションが何を言っているのか、微妙なニュアンスまで含めて、はっきりと理解できる。  そうか、ナノマシンのせいだ!俺は直感した。俺はレイブンに変身した姿のまま、この空間に取り込まれた。その時、ナノマシンを介して、俺の脳神経と、この船のコンピュータシステムとの間にリンクが成立したに違いない。仮にそうだとしたら、同様に取り込まれている生身のミーが制御系にアクセス出来なかった理由も説明がつく。  待てよ、もしかすると、ナノマシンのリンクを介して、レイブンにドローンやビーム銃の機能を取り込んだのと同じ要領で、この船の制御系を乗っ取ることが出来るかも知れない。やって見る価値はありそうだ。     
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