第二章

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 ミーは目に一杯涙を溜め、拳を握り締めている。「こんなだから…こんな事だから、ロンバダ星は滅んだんだ…。誰のせいでも無い、下らない見栄と意地を張り、嘘に嘘を重ねたから…」僅かとは言え信じていた自分の故郷に裏切られた、その悔しさは一体どれほどのものだろう。肩を震わせながら悲しみを必死に堪えるその小さなシルエットを、俺はとてもではないが辛くて正視することが出来なかった。  「何を言っているのですか?ロンバダ星が滅んだ?そんな筈は…」ブーザは明らかに狼狽した声で言った。  「ミー、いや、スリグの言っている事は事実だ。ロンバダ星は君や、彼が地球に向けて旅立った直後に、内乱を起こして滅亡した。」怒りが頂点に達したせいで、逆に感情が抜け落ちた声で俺がそう指摘すると、またブーザは癇癪を起こして電撃を投げ付けて来た。だが、今度はもう、その手は喰わない。電撃は俺に届く前に、空中に虚しく火花を散らして消え去った。「貴様…何をした!?」  「人のことを云々するよりも、まず自分の事を心配したらどうかね?」俺はそう言うと、ナノマシンのリンクを介して、自分の記憶をその場に投射して見せた。数カ月前、地球で俺と闘って敗れた侵略宇宙人のセバン星人が語った記憶。自分でさえ忘れかけていた、その内容を脳細胞から拾い上げ、再生して見せたのだ。  『良いか、覚悟して聞いてくれ。』記憶の中のセバン星人が言う。『ロンタバ星は、もう無い。この星の時間で、およそ五ヶ月前に消滅した。』  「う…嘘だ!そんなことはあり得ない!」ブーザの声はもはや絶叫に近い。     
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