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僕はこの世界が嫌いだった。理由は簡単だ。生きることに意味がないからだ。
人は今を生きることが大切、などとよく言うが、僕は納得できなかった。
人は死ぬんだ。
どれだけ幸せな暮らしをしていても、どれだけ貧乏な生活をしても、家族に見守られながら、ベットの上でゆっくりと安らかに死のうが、人に殺されようが、人は絶対に死ぬ。
そんな世界を嫌って僕は生きづらさを抱えていた。
せめて、この世界に何かを残すことが自分のやるべきことなのだと思い、何かを残そうとしてきた。
いや、もしかしたら、やるべきことなのだと思いたかっただけなのかなしれない。
「二人で世界を変えてみない?」
「そんな世界ならふたりでこわそうよ!」
彼女の声が聞こえてきて、胸が苦しくなった。
そうだ、彼女と出会った日から僕の人生は変わり出したんだ。
君は僕に夢を連れてきた。
そして、世界の終焉を連れてくる。
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