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「崇高なる我が術の完成を、なぜ讃えぬ。永く我らを虐げてきた朝廷に、神の鉄槌が下るのだ。これほどまでに喜ばしいことはないだろうに」  いかにも不可解といった顔で当然のように言う鵜野に、あからさまに顔を顰めた凪子は、刃を下に向けたまま左脚をじり、と引く。 「あんたのいかれた言い分はどうでもいいわ。朝廷なんて平安時代の話しされても、同意なんてできるわけないじゃない。知らないんだから」  右手に大通連を提げ、左手でデニムの後ろポケットから朱色の札を抜く。 「あんたが外道だってことが分かってればそれでいい」  言いながら札を左目の前に翳した。 「朱雀」  名を呼んだだけで、その意図を理解した使役が、凪子の前に滑るように移動する。目の前に立つその背に、凪子は朱色の札を貼り付けた。  凪子の手の下で赤く発光した札は、書きつけられた呪が一瞬浮き上がったと思うと消え失せる。同時に、朱雀の両目の眼球が赤く染まった。瞳の境目がなくなる。  嘲るように鵜野が嗤った。 「お前も変わらぬではないか」 「使役のカスタマイズのどこが外道なのよ。朱雀を守るためにガードを底上げしただけよ」  ふん、と鼻を鳴らして返す凪子に、胡乱気な目をして大陰が呟く。 「……主様、強引」     
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