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 封印されてすぐは、流石に結界が強くてできなかっただろうが、綻びができたのはつい最近の話ではないはずだ。  恐らく、少しずつ摩耗し、小さな穴が段々と広がっていったのだろう。 「あ、でも、戦前までは陰陽寮の監視下にあったってことは、当然結界の張り直しもされてるか」  戦後や戦中に遡ったくらいでは、大した違いはなさそうだ。  話に聞く限り、鵜野は相当の術師だと窺える。もし娘でも自分の子がいたなら、その全てを授けようと思わなかったのだろうか。 「―――― 妻が嫌ったってことは有り得るかしら」  そうだとしたなら、鵜野の血を残すことに頓着しなかったのは当然かもしれないと思える。 「……やめた。千年も昔のことなんて、憶測も無駄な話だわ。気になることは訊けばいいのよね、本人に」  思考を打ち切った凪子は反動を付けて起き上がると、デニムのポケットから携帯を取り出す。 「そろそろいいかしらね」  独り言ちて、美羽の携帯を呼び出した。三回目のコールで出た美羽は、酷く声を潜めていて、思わず眉を寄せる。 「何かあった? 」 『あったと言えばあったみたいですけど、ないと言えばないです』 「どういうこと? 」  眉間の皺を深くして問い返しながら、彼女の背後がざわついているのに気づいた。 「人がいるの? 」     
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