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初めこそ立て直そうと様々な政策が行われた。だが結局「力」を抑える事は出来ず、最終的に強い国に助けを求める事しか出来なかった。しかし、他国の人間の侵入は更なる力を悪戯に人間に与え、最早立て直す所の話しでは無くなった。
無意味な責任の追求、内輪もめを繰り返し事態は良くなるどころか国民の生活はより苦しくなっていった。
財ある者は早々にこの国を捨てた。
そして政府が最後に、置き土産のように残していった諸刃の剣のような軍事主力部隊「ディオ」は、生き残った人間を呑み込み組織を広げ、闇雲に砲弾を放ち続けた。爆撃を受けたかのように建物は崩壊し、爆風により草木や大地は枯れた。後の話だが、「ディオ」に所属していた人物の大半は薬に手を出していたそうだ。
悪いことは重なる。国を仕切る者達が言い争いを繰り返している最中、大地が震えた。いつか来ると言われていた大地震『Xデー』が訪れた。幾度となく、大地は無慈悲に揺れ続け人間を翻弄させる。
繰り返される余震の力により大陸変動が起こり地形は大幅に変わっていった。そして、この国はいつの間にか他の国から切り離され見捨てられ、孤島となってしまった。
もはやこの国が昔何と呼ばれていたのか、誰にも分からない。
誰が綴ったか分からない、本に書かれた物語を語ると、柔らかな黒髪にあどけない瞳をした少年は、幼心に痛みを理解したのか、その瞳を潤ませる。
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