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翼は母方の祖父母に大変可愛がられている。 今でも時々会いに行ったりしているが、素直になれないのと恥ずかしさでいつも素っ気ない態度をとってしまうのだ。 学校へ行こうとしたそのとき、祖母から着信。 翼はまたか‥と思いながら溜め息をついてから電話に出た。 「もしもし?翼ちゃん?もう学校へ行く時間だよ。ご飯は食べた?お弁当は作ったの?」と優しい口調で話す。 翼は照れ臭そうに「わかってるって。ばあちゃん‥」と呟く。 祖母は翼のことが本当に心配だった。翼もその気持ちをよく知っていた。 「ばあちゃん‥」翼は携帯電話を持ったまま、黙ってしまった。 祖母は心配した口調で「どうしたの?お腹でも痛いの?」と言うと「…いや、何でもない。それじゃあ学校へ行ってくるよ。じゃあね」と言って電話を切った。 もしかすると、翼はこう言いたかったのかもしれない。 「ばあちゃん、いつも心配かけてゴメンなさい」と…… 翼は鍵を掛け、バイクに乗って駅へと向かった。 今日はいつも以上に早く駅に着いた。翼は内心祖母に感謝した。祖父母にはいつも感謝しているが、今日は違う意味で感謝した。その理由は深雪がいないからだ。 翼はぶりっ子が大嫌いで、とある芸能人を見ていると胸くそが悪くなり、機嫌が悪くなる。 駅に着いて電車を待っていると、背後から「おっはよー♪」と言われ、振り向くとバンドのメンバーのYu_sukeこと伊神悠輔(いがみゆうすけ)が話掛けてきた。 悠輔はいわゆるゲイでメンバー全員(マネージャーの関谷と付き合っているが、翼以外知らない)気にしてはいないが、女の子みたいな顔立ち・体型・変声期もあまりない声・身長・性同一性障がいでイジメられていたのを翼が助けたのが出会いだった。
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