第1話「猫魔女さん」

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第1話「猫魔女さん」

 窓から入る陽射しの眩しさに、目を覚ました。  うっ、眩しい。朝は嫌いですね。  はぁ、怠い、毎度の事ながら……。 「ようっ! キョウダイっ! 早く起きねぇか」  眩しさに皺ばむ目で、声のする方へ目をやると、そこには真っ黒な毛並みに、二本の尾っぽを持つ一匹の黒猫がいた。  黒猫は青々とした瞳でこちらを覗き込んでくる。 「はぁ、おはようございます。オルグ」  私は陽射しから逃れる為、ふわふわの枕に顔を埋めながら、片手を振り上げて黒猫へ挨拶した。 「おい、おい。起きる気ねぇだろよ」  私がオルグと呼んだ黒猫の呆れ声が耳に入る。 「別によ、おいらは、構わなねぇけど、困るのはキョウダイだろが……」  一向に起きようとしない私を心配し、言葉を掛けてきたオルグ。  嗚呼、気持ちよ過ぎる、このまま二度寝したい。  だけど、早く起きないと口うるさく説教を垂れてくる人がいるんですよね。  しばらく、ぼーっと目が冴えるのを待って、私はシーツをめくり、のそのそとベッドから起き上がった。 「やっと、お目覚めか。キョウダイ」  滑らかな黒毛を毛繕いするオルグ。 「うっ、はぁぁ、流石に起きないと不味いですからね」     
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