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箒の柄先に、ちょこんと座るオルグが、そう言ってジト目で私を睨み付ける。
「う、それは、悪いと思ってますよ。しかしながら、私は朝が弱いんで、こればっかりは、どうにもならないんですよ。オルグだって一応は広い範囲で私と同族だから、わかるでしょ」
「そうだが、キョウダイの場合、特に酷すぎるぞ!」
「はぁ、オルグ、機嫌なおして下さい。今日のお昼、オルグの好物、ご馳走しますから」
「な、そ、そうか。キョウダイが、そう言うなら機嫌なおしてやらんでもない」
私の言葉が一瞬にしてオルグの顔をふやけさす。
相変わらず、扱いやすいくて助かるよ。
向かう場所は、リヴァリス王国内、ヴォルケン侯爵領、エルムス城塞都市。
人口、約二十万人を有した都市で、この世界では、大都市の部類に属する。
都市内には、シェーンダリアの営む、よろず屋【魔女の小箱】があり、魔物を追い払う魔除けや護符、片や傷薬まで幅広く取扱う店。
店で扱う商品は、全て館の魔女達が作っている。
シェーンダリアは、この様な店をリヴァリス王国内に幾つも持ち、魔女達の主な収入源の一つとしていた。
そして、エルムス城塞都市にある、よろず屋【魔女の小箱】を任されているのが私です。
言うなれば、コンビニの雇われ店長みたいなもんかな。
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