第1話「猫魔女さん」

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 しばらく、目下に広がった黄金色に輝く麦畑の海を城塞都市、目指してひた進む。  麦畑の海が途切れ、地均された街道の先に現れたのは、頑強で巨大な城壁に囲まれた街、エルムス城塞都市。  このまま、城壁を越えて中に入りたいところだけど、それをすると色々ややこしい事が起こるのでやめておく。  私は上空飛行から低空飛行に切り替え、城門前へと続く街道沿いを行く事にした。  城塞都市に近付くにつれ、チラホラと人影が見えて来る。 『あっ! ネコ魔女さんだ!』 『おっ、マジか! スゲぇ俺、初めて見たよ』 『ネコちゃん、相変わらず可愛いね』  段々と人が多くなり、私の姿に気付き、笑顔で手を振ってくる人達。 「ククッ、相変わらず人気ものじゃないか」 「うるさいですよ。オルグ」  にやけ顔晒して皮肉るオルグへ、私はぶっきら棒に言葉返す。  でも流石に、仏頂面して無視するのも気が引けますし、店の営利上、良く無いので、ここは、ひとつ素晴らしい営業スマイルを以て、手を振り返して上げますか。  ここ、エルムスで、私の事を見知ってる人達は皆、ネコ魔女と呼ぶ。  魔女でしかも獣人と言う組み合わせが、多分、物珍しいのだと思う。  転生した、このアーガレスト大陸には、多種多様な人種が存在していた。     
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