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しばらく、目下に広がった黄金色に輝く麦畑の海を城塞都市、目指してひた進む。
麦畑の海が途切れ、地均された街道の先に現れたのは、頑強で巨大な城壁に囲まれた街、エルムス城塞都市。
このまま、城壁を越えて中に入りたいところだけど、それをすると色々ややこしい事が起こるのでやめておく。
私は上空飛行から低空飛行に切り替え、城門前へと続く街道沿いを行く事にした。
城塞都市に近付くにつれ、チラホラと人影が見えて来る。
『あっ! ネコ魔女さんだ!』
『おっ、マジか! スゲぇ俺、初めて見たよ』
『ネコちゃん、相変わらず可愛いね』
段々と人が多くなり、私の姿に気付き、笑顔で手を振ってくる人達。
「ククッ、相変わらず人気ものじゃないか」
「うるさいですよ。オルグ」
にやけ顔晒して皮肉るオルグへ、私はぶっきら棒に言葉返す。
でも流石に、仏頂面して無視するのも気が引けますし、店の営利上、良く無いので、ここは、ひとつ素晴らしい営業スマイルを以て、手を振り返して上げますか。
ここ、エルムスで、私の事を見知ってる人達は皆、ネコ魔女と呼ぶ。
魔女でしかも獣人と言う組み合わせが、多分、物珍しいのだと思う。
転生した、このアーガレスト大陸には、多種多様な人種が存在していた。
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