第1話「猫魔女さん」

9/14
前へ
/352ページ
次へ
 無機質で飾り気のない城門に到着した。  エルムスの街は元々、リヴァリス王国の防衛拠点として建造されたので、外観は少し味気ない仕様になっている。  跨っていた箒を降りれば、たすき掛けてた大判の革鞄から銅貨を一枚取り出す。  街へ入場の際、通行税が必要でエルムスに在住していない、商人や旅人は税を支払わないと入場許可されない。  斯く言う私も、エルムス住人ではない為、通行税を払わないといけない。  お上が儲かるシステムは、何処にでも有るって事です。  できる事なら、私も一枚噛みたいくらいですよ。  街へ入場する為の列が成される。  大都市になればなる程、入場規制が敷かれ、チェックも厳しくなる。  鬱陶しいけど、待つのも仕事の内、なので黙って入場列に並ぶ。 「コラッ、ガキ、お前は入場許可札持ってねぇだろ」 「だから、さっきから言ってるだろ 許可札、家に忘れて来たって」  列の先頭から言い争っている声が聞こえて来た。  何事かと思い、私は列の脇目からひょっこり顔を出して先頭を覗き込んだと、同時に足下にいたオルグが、私の肩へと駆け上がり、 「どうした、どうした? 何か揉め事か?」  私と同じように肩口より、先頭を覗くオルグが耳元で訊ねてきた。     
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加