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無機質で飾り気のない城門に到着した。
エルムスの街は元々、リヴァリス王国の防衛拠点として建造されたので、外観は少し味気ない仕様になっている。
跨っていた箒を降りれば、たすき掛けてた大判の革鞄から銅貨を一枚取り出す。
街へ入場の際、通行税が必要でエルムスに在住していない、商人や旅人は税を支払わないと入場許可されない。
斯く言う私も、エルムス住人ではない為、通行税を払わないといけない。
お上が儲かるシステムは、何処にでも有るって事です。
できる事なら、私も一枚噛みたいくらいですよ。
街へ入場する為の列が成される。
大都市になればなる程、入場規制が敷かれ、チェックも厳しくなる。
鬱陶しいけど、待つのも仕事の内、なので黙って入場列に並ぶ。
「コラッ、ガキ、お前は入場許可札持ってねぇだろ」
「だから、さっきから言ってるだろ 許可札、家に忘れて来たって」
列の先頭から言い争っている声が聞こえて来た。
何事かと思い、私は列の脇目からひょっこり顔を出して先頭を覗き込んだと、同時に足下にいたオルグが、私の肩へと駆け上がり、
「どうした、どうした? 何か揉め事か?」
私と同じように肩口より、先頭を覗くオルグが耳元で訊ねてきた。
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