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「さぁ、なんでしょうね?」
先頭を見やれば、二人の人物が見えた。城門で入場チェックを行う衛兵と暗灰の髪色で、少々、癖が悪そうな少年の姿だ。
言い争う二人を他所に、別の列が新たに出来たなら、入場をスムーズに執り行われる。
やっと、私の番まで来たか。
「おっ、ネコちゃんか、今からお店開けるのかい」
「はい、そうです。何か入り用なら、いつでもお越し下さいね」
衛兵のお兄さんと軽い挨拶を交わし、城門へと進む。
「いい加減にしねぇか! 税が払えないなら入場許可できねぇ。いくらガキでも、こればっかりどうしようもねぇよ」
「ちくしょう! 鬼、悪魔、人でなし」
煩わしそうにしている衛兵のオヤジさんに、半泣き顔で少年は言いたい放題叫んでいる。
可哀想にと言いたい所だけど、よくある風景。
あわよくば、タダで街に入ろうとする者は、後を絶たない。
言い争う二人の側を通り抜けようとした時……青い瞳を潤ませる半泣きの少年と目が合う。
「お姉ちゃん!」
そう叫び、少年が、私の腰に抱き付いてきた!
「はっ?」
「おう、ネコちゃん、このガキと知り合いか……」
「うん、そうだよ、おっちゃん」
私が口を開くより早く少年は、衛兵のオヤジさんに返事する。
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