第1話「猫魔女さん」

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 何、勝手、言ってるんです。キミとは、初対面ですよ。  抱きつく少年を、俯かせた顔で見やると、少年はニヤニヤ含み笑いを浮かべていた。  こ、こいつ、嘘ついて、街に入ろうとする輩か。  私を利用しようって魂胆か、そんな不逞な輩は、衛兵に突き出してやらなければ。  私の顔色から何か察したのだろう、少年は腰に回していた手で、クルクル動き回る私の尻尾をグギュッと掴み取った! 「……ぁふ……むんんっ」 「どうした? ネコちゃん」 「……ぁっ……いっいえ、何でもありません」  全身がプルプル震えてくる。  ううっ、ダメ、尻尾、触られたら……不味いぃぃ。  獣人の中でも、特に猫族(ラグド)は、尻尾が弱点と言うか、色々と敏感過ぎてヤバイです。  この子は、恐らく知っている。  だから、今の状態は非常に危険なんです。  こんな、大勢の人目で醜態を晒すのは、何としても避けたい。  私は、少年に屈伏しそうな自分を何とか奮い立たせて、ヤメろと目で訴え掛けた。  少年は声を出さず、口だけ動かして私に協力しろと言って来る。  いくら不意打ちとはいえ、くっうぅ、こんなガキんちょにしてやられるなんて。     
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