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だけども、私は今の状況から、只々、解放されたい一心だったので、一度だけ少年を見てコクッと軽く頷いた。
すると、握っていた尻尾から少しだけ、力が抜かれるのが、わかった。
「ん、すみませんでした。この子が迷惑掛けた見たいですね。今回は大目に見てやって下さい」
「そうか、ネコちゃんの知り合いだったか。なら、仕方ない今回は特別だ。ボウズよ、ネコちゃんが居て良かったな。ちゃんとお礼言っとけよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「どう致しまして、次からは気つけてね」
こう言う時、普段の行いが物を言う。
衛兵のオヤジさん、ゴメン、ゴメン。
心の中で、オヤジさんに何度も謝りをいれた。
少年は私と一緒に難なく城門をくぐり抜けて行く。
街に入るなり、足早に私は少し閑散とした場所へ移動すれば、
「くっ……いい加減んんっ……手を離す!」
「ああっ! ゴメンよ。お姉さん」
私の言葉に、すぐさま手を離した少年。
手を離された瞬間、身体から力が抜けて行き、私はその場にへたり込んだ。
「はぁぁっ……んっ……ハァハァ、ハァハァ」
自分で自分の身体をギュッと抱き締めて、火照り、昂揚を諫めてやる。
「キミ、どういうつもりですか? ことと次第によっては、いくらお子様でも容赦しませんよ」
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