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「では、行きましょうか」
女の子が手を差し伸べる。
「どこへ?」
俺の問いかけに、女の子は空の上を指さす。
「死んだことに気付かない人は、一人では上に行けないのです。だから、迎えに来ました」
「上?」
「放っておけば、迷子の魂だらけで地上が溢れてしまいますから」
女の子は仕事の顔をしている。
そうか、こんな小さな子にすら仕事がある。
お迎え、というやつだろうか。
馬鹿みたいに、嫌になる。
俺は、どうしてそんなに固執しているんだろう。
そんなに大事だったろうか。
でも、それ以外に何かやりたいことが、俺にはあっただろうか。
昔はあったような気がする。
それが、もう、思い出せない。
生きていた頃からなのか、死んでからわからなくなったのか、そんなこともわからない。
だから、ただ、続けていたことが無くなってしまったことだけが気になっているのか。
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