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駅前広場で待ってる、そう言い残した彼はぶつりと通話を切った。
過去について。
思い当たるのはあの事しかない。
圭汰に話したのは事故のことだけだ。だけど、彼の口振りはそれ以外について話たいといったものだった。
何を知りたい? 何を聞く?
──何を、知っている?
頭の中で色々と推測したところでどうにもならない。手にしたままの携帯が質量を増したようにやけに重く感じる。
……向き合わなければ、いけないのか。
今まで心の奥に押し込めて、ひたすら自分からも"彼"からも逃げてきた。そうしなければ自分でいられなかったから。
それももう終わりかもしれない。
嫌な動悸を感じながら、ギラギラと照りつける日差しの元へ思い足取りを進ませた。
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