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「着替え、終わった?」
小野坂を見ると半袖のシャツを着るところだった。
「もう終わる」
趣味は、バスケだと言っていただろうか。確かアメリカはバスケが盛んだった気がする。そこで培われたのだろうか、改めて見ると体格がいい。華奢な自分とは比べ物にならない。
右の脇腹に3つ並んだほくろがあった。
「うおっ!」
「あ、……ごめ」
綺麗に並んだ点を思わずなぞってしまった。筋肉質ってほどではないが程よく鍛えられた腹筋。そこに等間隔で連なった点もすぐにシャツで隠れてしまった。
「……オレも、鍛えようかな」
自分の体躯と比べている姿を見て小野坂はふっ、と笑った。
「気難しいヤツだと思ってたんだけど、案外可愛いことするんだね」
さんざん振り撒いていた作り笑顔ではない優しい笑顔だ。その言葉と表情に自分の取った行動を振り返ってしまう。
(オレ、何した……? 何で触った!?)
途端に顔が熱くなる。多分耳まで赤くなってしまっているだろう。
「ははっ、可愛い反応」
「や、悪い、ほんと……」
恥ずかしさのあまり顔を両手で覆う。
「俺、ちゃんと芳野と友達になりたいな。先生に言われたからじゃなく、友達として色々教えてよ」
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