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倉庫内の気温が上がる。戸を開けて入った時よりも締め切られた今の方が暑い。まるで蒸し風呂だ。
「……まずいな。このままここにいたら、最悪死ぬぞ」
授業中に水分はとっていたものの、運動後で水分不足なのは確かだ。そんな中でサウナ状態の倉庫から出られないとなると熱中症で倒れるのも時間の問題だった。
「あっ……!」
ジャージのポケットから携帯電話を取り出す。
「芳野、携帯持ってきてたのか?」
「一応授業で移動する時、貴重品は持ってきてもいいことになってるから」
「そっか。でもこれで助けが呼べるな!」
「うん」
携帯のアドレス帳を開き、とりあえず横田に電話をかける。
「ヨコ、気付くかな……」
時間的には休み時間。ただ、学校ではマナーモードにしている生徒がほとんどで、電話を鳴らしても気付かない事もあるのだ。
5コール、6コールと待つが出る気配はなかった。
「ダメだ……。多分気付いてないんだと思う……」
何度かかけ直すが横田が出ることはなかった。
「ほかに誰かいないのか?」
「ちょっと待って」
牧田に電話をかける。彼なら休み時間に携帯を見ていることが多いので電話に出る可能性があった。
3コール目で出た。
『もしもーし? あまちん、どうしたの? てか、隣のクラスなんだし来ればいいのに』
「あのね、それが──」
牧田に起こったことを話した。
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