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朝からいろいろなことがあったせいか、昼休みが始まる頃にはだいぶ疲労が溜まっていた。時間の経過が遅く感じるが、やっと息をつけると思うと幾分か気が楽になった。
昼はいつも学食に集まっている。今日はトラブル続きだったため教室で昼食を取ることも考えたのだが、三森とその取り巻きたちの視線が煩わしくて、いつも通り学食に向かうことにした。
「小野坂くん! あたし達とご飯食べない?」
相変わらず休み時間になると後ろの席に女子が群がってくる。鞄から弁当箱を取り出し、群がる女子に声をかけた。
「あ、あの、……今日はオレたちと約束してるから」
本当はそんな約束はしていなかったのだが、小野坂の人気を羨んで実際に手荒な真似をされたのを考えると、このまま放ってはおけなかった。
一瞬、女子の目が鋭く突き刺さった。
「そうそう。小野坂クンはオレたちとご飯食べるの」
倉庫での一件のあと横田にも事情を話した。そのためか、すかさずフォローに入ってくれた。
「えー、ずるーい」
女子たちからブーイングが起こる。が、面子を思い出した子が、
「でも、周くんと横田と一緒にってことは、賢木くんとマキちゃんも一緒なんでしょ?」
と言うと群がっていた女子は口々に「ヤバい! それなら譲る!」と言って捌けていった。女子たちにとって、イケメンが集うのは心の保養になっているのだろうか。
「ありがとう。正直女の子たちに囲まれるの、疲れてたんだ」
ぐったりと机に突っ伏す小野坂の言葉に、横田は引っかかるものがあったらしい。
「むむっ! 贅沢な悩みだな、小野坂クン。女子にチヤホヤされて羨ましいってもんだ。なあ、周もそう思うだろ?」
「うーん……。今日の小野坂の囲まれよう見てたら、ちょっと怖いかな……」
「ほら、芳野もこう言ってるし」
「なんでさ! お前ら男としてその態度はどうなのよ!」
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