Summer of the 2nd grade at High school

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 バス停から歩くこと約5分。横田に連れられて来た場所は浜辺の海の家ではなく、海岸線沿いに建った宿だった。築年数自体は新しそうだったが古民家風の趣のある建物だった。  横田は迷わず引き戸を開けた。 「ちわーっす! 紗代(さよ)姉ちゃんいるー?」  横田に続いて中に入る。すると奥から着物を着た若い女の人が出てきた。横田は“紗代姉ちゃん”と呼んでいたので彼女が横田の従兄弟夫婦の奥さんなのだろうか。 「いらっしゃい、いっちゃん! 早かったねえ!」  横田樹だから“いっちゃん”か。紗代さんは見た目は若女将のようだが、言動からとても活発な女性だということが伺えた。 「あんたたちの部屋は2階の奥の大部屋ね。荷物置いたらこれ着て降りてきてちょうだい」  紗代さんから黒いTシャツを受け取る。広げると背面に『涼み場 恭ちゃん』と毛筆風のロゴが白く入っていた。  2階に上がって奥の大部屋の襖を開けた。5人で過ごすには少しだけ狭いが、ファミリー向けといった感じのとても良い部屋だった。窓の外には夏の日に照らされた海が広がっている。 「ほえー、すっげー眺めー」  牧田が荷物を端に置いて窓を開けた。吹き込んだ風が吊るしてあった風鈴を揺らしチリンと涼し気な音を奏でた。 「こんな良い所で3泊もタダ泊まりか……。ホントにいいのか?」  バイトするとはいえ見合わない待遇の良さに不安になりながら隆平が呟いた。 「いいのいいの! キョウ兄も紗代姉ちゃんも寛大だからさ」  部屋の端に荷物を置いて貰ったTシャツに着替えた。他のみんなはサイズがピッタリだったようだったが、着替えた自分の裾や袖を見るとだいぶ長くて服に着られているようだった。 「なんか、ちょっと大きい気がする……」 「このTシャツ、ワンサイズしかないからなあ。周は細っこいから結構ブカブカだったな」  ワンサイズと聞き、同じサイズのものをきちんと着こなす他の4人の姿を見て少し悔しく思いつつも、どうにもならないことなので仕方ないと割り切ることにした。
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