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「みんな、名前かけた? 外に迎えの車来たから準備してちょうだいな」
「はーい」
みんなが思い思いに描いた名札を付けて外に出る。紗代さんに案内されて裏手の従業員用入口の近くに来ると白いワゴン車が停められていた。
「おう、ボウズたち。今日からメキメキ働いてもらうからな!」
「安志さん! お久しぶりっす!」
横田が“安志”と呼んだその人は、大柄で筋肉質な30代後半くらいの男性だ。日に焼けた顔には無精髭が生えていたが不潔感はなく、むしろ格好良ささえ感じる。頭には白いタオルを巻いていた。黒いTシャツの背中には同じ『涼み場 恭ちゃん』の文字が入っている。
「お前、樹か? 少し見ない間にでかくなりやがって!」
「痛えっす……!」
安志さんは横田の頭をグリグリと撫でている。
「ヨコ、この方は?」
親しそうな仲だったが関係性がよく分からなかったので聞いてみた。
「ああ、この人は蒲生安志さん。キョウ兄の親友ね」
「よろしくな! まあ、分かんないことあったら遠慮なく聞いてくれや」
握手を交わしたその手は、ゴツゴツしていて大きかった。
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