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ワゴン車に乗り出発してから数分、海水浴場の駐車場に着いた。車を降りると安志さんはバックドアを開けた。
「よし、さっそく仕事だ。この荷物を手分けして店まで運んでほしい」
積まれていたのは段ボール3箱と新しいビールサーバーだった。荷物を全て下ろすと車に鍵をかけた。
「本当は荷台を使いたいんだが、浜に降りるには階段しかないんだ。悪いが頑張って運んでくれ」
そう言うと安志さんは段ボール箱を1箱持って歩き出した。隆平と小野坂もそれぞれ段ボール箱を1つずつ持つ。残ったビールサーバーは牧田と二人で持った。ビールサーバーは二人で持ってもなかなか重かった。
「おい、ヨコも仕事しろよー」
牧田が何も持っていない横田に文句を言う。
「えー? だって持つもんないしー」
「見ろよヨコ、重くて周が生まれたての小鹿みたいになってるぞ」
そんなに非力ではないのだが、実際隆平が言うように重くて腕はプルプル震えている。
「……わーったよ! 俺も持つ!」
責められて折れた横田も一緒にビールサーバーを持つ。一人あたりの負担が減りだいぶ楽に運べるようになった。
浜辺への階段を降り店へと向かった。
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