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砂浜は足を取られて歩きにくい。特に重いものを運びながらだと砂に足が沈んでいくので余計に疲れる。
先を歩いていた安志さんの姿はもう見えなくなっていたが、横田の案内もあり店の裏手に着くことができた。
「おう、ありがとうな。その辺に置いといてくれ」
裏の入口の前で待っていた安志さんは店の中に向かって声をかけた。
「おーい! 樹たち来たぞー!」
「おー、今行くー!」
中から出てきたのは背は高いが小太りの男性だった。安志さん同様、頭に白いタオルを巻いている。
「おう! やっと来たか!」
「キョウ兄、久しぶり!」
この人が恭也さんか。恰幅のいい体型に日に焼けた肌、Tシャツの袖を肩まで捲っていていかにも“海の家の兄ちゃん”という感じだった。
「そんじゃあ、さっそくだが中で手伝ってもらうかな」
招かれて中に入るとそこは厨房だった。
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