Summer of the 2nd grade at High school

13/44
前へ
/126ページ
次へ
 テイクアウトメニューは、バニラとチョコのソフトクリームと各種飲み物、焼きそばやフランクフルトといった軽食だった。地元の祭りで出店の手伝いをしたことがあったため販売業にとくに不安はなかった。説明を受けた限りでは、レジ業務自体もそこまで難しい操作はなかった。  問題はソフトクリームである。何度か練習させてもらったが、なかなか上手く渦を巻けなくて5回ほど廃棄にしてしまった。流し台に無残に積み重なったソフトクリームを見ると罪悪感で心苦しくなる。ただ、一度コツを掴んでからは綺麗に巻けるようになった。  何度か対応するうちにだいぶ手際よく客を捌けるようになった。1時を過ぎたあたりからは、避暑がてら店内に涼みに来る客が増えだいぶ忙しくなった。  カウンターの外に女性が二人やってきた。一人は茶髪のロングヘアーで水色のビキニ、もう一人はブロンドのショートボブに赤いビキニ、頭にはサングラスを乗せていた。 「すみませーん。ビールふたつー」 「かしこまりました、ビールですね。合計で600円になります」  レジを打ち、ビールサーバーから上手くカップに注ぐ。 「どうぞ」  ビールをそれぞれに手渡す。 「やーん、可愛い~!」 「ねえー。君、高校生? このあとアタシ達と遊ばない?」 「えっ……」  これが俗に言う“逆ナンパ”というものだろうか。突然の出来事で言葉に詰まる。 「あっ、えっと……」 「甘いフェイスにクールな態度~! ギャップ萌え~!」 「いいじゃん! 遊ぼうよ~!」  こういう時にどうやって対応したらいいのかが分からない。断りたいが、その断るための文言が思い浮かばなかった。 「悪いな、おねーさん。こいついなくなると店が回らなくなるんだ。だから勘弁して、な?」  後ろから肩越しに隆平が助けてくれた。肩に回された手がポンッと優しく叩く。 「やだ~! こっちの彼もイケメ~ン!」 「そう言われちゃうと連れていけないよね~」  女性たちはありがとー、と一言残して去っていった。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加