俺を助けろ!

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今日は夜九時に幼馴染で親友の太一が部屋に来る約束をしていた。いつも遊びに来る時は夕方から来て夕飯を食べながらビールを飲んで、ゲームやら映画鑑賞やらをするのに、今日に限って夜九時と言う遅い時間を指定して来た。 九時はタイマーの制限時間と一致している。 まさか、リホと太一が共謀して俺を殺そうとしているんじゃないか? 先月、盆休みに帰省したときに高校の同級生と再会した。そいつによると、太一はもともとリホが好きで、高校三年の春に俺とリホが付き合うと聞いてショックを受けていたそうだ。そんな話初めて聞いた。 俺とリホと太一は高校が同じで、進学した大学は違えど3人揃って長野から上京し、今でも変わらず遊んでいる。 俺とリホが付き合った後も太一は何も変わらず3人で遊んでくれて、それがとても嬉しかった。変に気を使われたくなかったし、3人の友人関係を壊したくなかった。 もしかしたらこれは俺のエゴで、太一にとっては3人でいることが苦痛でしか無かったのか? 太一は俺とリホを間近で見ながら苦しんでいたのかもしれない。 まさか、リホの様子がおかしいのはそのせいか?リホも太一のことを好きになって両思いになったが、俺の存在が邪魔だった。 よくよく考えると、俺って自分勝手なやつだもんな。リホと付き合うのだって俺の告白の勢いにリホが負けたような感じだし、デートは俺のペースに合わせてもらってばかり。今日だって注文したゲームが届くからという理由でデートを早めに切り上げてもらった。 それに、俺は2人きりで遊ぶよりも太一を呼んで3人で遊ぶ方が実は好きだ。 だからデートなのにいきなり太一を呼んだりすることもある。 それに比べて太一は気配りのできる優しい男だ。ガサツで自分勝手な俺と何で長年友達をやってくれてるのか不思議で仕方ない。 だからって、殺すことはないだろう! 2人が付き合いだしたら、俺は嫉妬と裏切りと悲しみで怒り狂うだろうし、これまでの3人の関係に戻ることはできないだろう。 だからって、殺しちゃだめだろう!
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