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じっと校庭ばかり見ていると平衡感覚を失って本当に落ちそうになりそうなので、そのまま座ってせっかくだから夕日を見ることにした。
普段あまり一人になることもないし、普段立ち入り禁止と書かれた屋上にいるのは不良たちだけだからね。
屋上の床にある煙草の吸殻は見て見ぬふり。それよりもせっかくの非日常を大事にしようじゃないか。
そんなことを考えながら足をぶらぶらさせていると、後ろから凄い勢いでドアを開けたような衝撃音がして後ろを振り返ってみた。
振り返れば、息を切らしたサッカーボールを持ったクラスメイトの姿がそこにあった。
「…なに、してんだ?」
「夕日見てた。」
息を切らしながら問われ、シンプルに俺はそう答えると一息開けた後思いっきり息を吐かれた。どこか安堵しているようにも見えた。
…あ、もしかして
「自殺、するように見えた?」
「……」
無言は肯定と取ります。
彼の姿は制服姿だったので部活に俺の姿を見たとかではなく、多分部活を終えて帰ろうとして俺の姿が見えて引き返してきたのかも?…それだと申し訳ないな。
一瞬だけ死にたい、とか思ったけど別に本気ではなくて、途中からは本当に夕日を見ていたから嘘はいっていない、はず。
呼吸を落ち着けた彼は雑に持っていたカバンとサッカーボールを投げるように置いた。
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