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「…とりあえずフェンスの中に入ってくれ、心臓に悪い。」
「あ、うん。」
よっと、掛け声とともにフェンスに乗ってそのまま下を見ずにフェンス内に戻った。
そして俺は目を疑う。
何故、彼が、手を広げて俺の着地するであろうところに、待ってる!?
「ちょっ…え!?」
いきなりのことで『どいて』も言えないし、何より空中で軌道変更するなんてそんな少年漫画みたいなことは出来ず、そのまま俺は彼の腕の中に飛び込むことになった。
飛び降りた勢いと自分の体重のせいで思いっきり彼にのしかかる形になった。え、ちょっと、足大丈夫?サッカー部なんでしょ?!
「だいじょ…わぶっ」
すぐに上からどいて安否の確認をしようとしたけど、何も出来なかった。
だって彼に抱きしめられているんだもの。…抱きしめられて、いる、んだもの?
ちょっと、まって!なにこの状況?!なんで俺は彼に受け止められて抱きしめられいるんだ?!
慌てて離れようと抵抗しようとして、でもすぐに彼の様子がおかしいことに気付いて固まってしまう。
力強く抱きしめながらも、その見ただけで鍛えられたであろうその逞しい身体が震えていることに気が付いてしまったから。
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