第1章

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「私はもうこの世界にはいないの。明音だけに見えている幽霊」 私は大学入学後、壮絶ないじめにあい、耐えきれず自宅で首吊り自殺をした。 やっと、念願の志望大学に入学出来た。けれど、人間関係が最悪であった。未練だけがずっと残っていた。友達さえも出来ずに、自殺した。 成仏出来ずに、大学を彷徨うことになった。 彷徨う内に、サークルのチラシを見かけ、ホラーサークルに興味を持った。  もしかしたら、霊感のある人がいるかもしれない。私の事を、見てくれるかもしれない。 そんな淡い希望を込めて、サークルの教室に居続ける日々が続いた。 明音とは約一年前に出会った。優しい人だった。私の姿を見ても、悲鳴一つあげずに、話しかけてくれた。幽霊である事も分かっていた。何故か私だけ、はっきりと見えて、声も聞こえるとの事。亡くなってから友達が出来るとは、思いもしなかった。 「けれど、もうこれで未練は無いわ。だって、これからは明音がずっと一緒にいてくれる。あなたには感謝したい程よ」 そう言って、私は首の無い物体に深々と頭を下げた。相手の顔はもちろん見えないが、微笑んでいるかのように、私には思えた。
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