第1章

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 なぜこんなことを断言出来るのかというと、待ち合わせ場所からこの橋に着くまでに、ずっと後ろから首から上の無い子供程の背丈の物体がついてきていること。体中から鼻の曲がるような匂い。歩くたびに滴り落ちている血液とも、臓物とも言えない物。 そして、橋に近づくにつれ、どんどんその臭気は満ちてきている。殺意も。私は、一度振り返ってしまった。それにつられて明音も振り返る。  「真樹、どうしたの?何かいた?」  振り返ってはいけない。振り返ってはいけない。振り返ってはいけない。   相手が遊び相手だと思うから。まだ自分の頭が見つからないと嘆いているから。  今まで傷を付けられていた人は皆、首周りに小さな×印がつけられていた。私は、これは何かの判断材料にされているのかと思い当たった。 幽霊なんかいないと信じたい。更に人に危害を加えるなんて。けれど、実際に後ろにいるのは何?この橋にたどり着くまでに、色んな人とすれ違った。けれど、誰も見向きもしない。まるで見てしまったと認識してしまうと、自分自身が危ないと思えるような。  橋の真ん中に辿り着いてしまった。後ろからの臭気も立っていられない程、濃ゆくなってきている。明音は気づかないのだろうか。眩暈まで起きそうだ。  「ねぇ、明音。何か気付かない?」  明音に声をかける。けれど、その声は届いていなかった。耳が無いからだ。耳だけじゃない。首から上が無くなっている。どす黒い血が噴き出している。体は石像のように動かない。明音の体はゆっくりとスローモーションを見ているかのように前のめりに倒れていった。あまりのことに、悲鳴も出ない。すると、後ろから、  「あれ?お姉ちゃんの首なんで切れないの?」  大きな包丁を持った首から上の無い物体から声がした。男女とも区別のつかない声。そして、この異臭は肉が腐ったものであることが分かる。所々、骨や臓物が見えているからだ。私は必死に吐き気をこらえて分かり切った質問を尋ねる。  「どうして殺したの?」  「お姉ちゃんが振り返ったから。僕の声に気づいてくれた……二人も。今までのは声なんか関係無しに振り返ってたから、警告も含めて傷付けてあげたんだ。もしも、次また来たらその時は首落とすよって。僕、優しいでしょ。お姉ちゃんは何で切れないの?」  「私もあなたと同じだから」  「え?」
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