第5話 ~入園料に関して罪悪感を抱かなかったわけではない~

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第5話 ~入園料に関して罪悪感を抱かなかったわけではない~

 『東山西遊園』。  俺は現在、地元の遊園地であるその場所にいた。  カルロッテに「チキューの面白い場所に連れてって」と言われて来たのだ。  面白い場所=遊園地という安易な発想。  そして女の子と二人なら、選んでもおかしくはない選択として入園したのだが――うん、気まずいと言ったらありゃしない。 「”また”おひとり様……ですか?」 「あ……ああ、はい」  俺はスタッフ、そして周囲の白眼視(はくがんし)めいた視線を一身に浴びながら、4度目のジェットコースターに”1人”で乗り込む。  そして安全バーが下りてブザーが鳴ると、ジェットコースターは発車した。  すると、隠れていたカルロッテが胸ポケットから顔を出す。 「なんだ、かなめはあまり楽しくなさそうだな。私はあと何回だって乗れるぞ。ワイバーンをも超えた速度感とスリルっ。これは病みつきになるッ!!」 「楽しさよりも羞恥心が上回ってるよ、俺は。傍から見たら男1人で来てる痛い奴だからな。まあ、カルロッテが楽しんでいるなら我慢するさ」 「何を恥ずかしがることがある。勇者なのだから堂々としていればいいじゃないか。……おっ、急降下地点に近づいてきたな。よし、かなめ、例のやつをたのむ」 「またかよ。ったく、何度も言うけどうちゃんとつかまってろよ。――ほら」  俺は人差し指をカルロッテに近づける。  そしてカルロッテがしがみついたのを確認したのち、その手を頭上に上げた。  それは、全身で風を感じたいというカルロッテが考案した楽しみ方だった。    危ないからポケットの中で服にしがみついていろと俺は何度も言ったが、「やだやだ、これがいいのっ!」と駄々をこねるカルロッテに、押し切られていたのだった。  そして急降下が始まる。  しがみ付いている姿もそうだが、暴風を全身で受けるカルロッテの顔は、とてもじゃないが王女様とは思えなかった。 「あばばばばばっ、いびびびびびびっ、しゅ、しゅごい、これは――しゅごおおおおおいっ!!」  本当に楽しいんだよな? なっ?
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