第5話 ~入園料に関して罪悪感を抱かなかったわけではない~

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 ▽▲▽  そのあと別のアトラクションも、いくつか乗せられた。  しかしジェットコースターのスリルの前にはもの足らりなかったらしく、結局そのジェットコースターに13回乗ることになったのだった。 「それは何だ、かなめ? いい匂いが漂ってくるけど」  ベンチに座ると、カルロッテが胸ポケットの中から聞いてくる。  爆発コントみたいに髪の毛がぼさぼさになっているが、どうやら風を感じすぎて、その状態で固っているようだ。 「ソフトクリームっていう甘いお菓子だよ。食べてみるか?」 「いいのかっ? ではお言葉に甘えて……」  ソフトクリームを近づけると、カルロッテが上体を前に逸らす。  でも微妙に届かなくて、俺は上半身を前方に傾けてやる。  すると、「あわわっ!?」と体勢を崩したカルロッテがソフトクリームの中に落下した。 「あ」 「あわっぷぷぷっ――あ、あまぁいっ! けど溺れるうううううっ、た、助け、かなめ――」  俺はジタバタしているカルロッテの足をつまみ上げると、ベンチにそっと置く。  次にペットボトルの水を上からかけると、全身のソフトクリームを洗い流してやった。 「大丈夫か?」 「ああ、なんとか。いやでもまだソフトクリーム臭いな。うぅ、湯浴(ゆあ)みしたいぞ」 「湯浴み? ああ、入浴か。そうだな、服だって脱ぎたいだろうし、もう家に戻るか?」 「……」  答えないカルロッテ。  何かをじっと見ているようなので、俺はその視線を追う。  そこには仲(むつ)まじいカップルがいて、体を寄り添って笑顔で会話をしていた。 「カルロッテ?」 「私がもしかなめと同じ大きさだったら、あんな感じなのかな。……あんな風にかなめと仲良くするのかな」  カルロッテはそう呟く。 「あれはカップルだからだろ。……俺達は別にカップルじゃないし、だからあんな感じにはならないと思う。大きさとか関係なしに、さ」  間違ったことは言っていない。  なのに余計なことを口にしたような……そんな気はした。 「そう、だな。うんっ、そうだ。……さて、十分遊んだし、かなめの家に戻るぞ。よし、レッツゴー湯浴みっ」  胸ポケットに入ったカルロッテが前方を指さす。  そして歩き出す俺。  そのとき、1つの疑問が脳裏を過った。    こいつ、替えの服なんて持ってないだろう――と。
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