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「そんなことない。だってかなめは外に出たんだから。私を楽しい場所に連れて行ってくれたんだから――。だから、どうしようもなくない」
だけどそんなことはなくって、カルロッテはどこまでも優しかった。
「ありがとう」の言葉が素直に出る俺。
てっきり「気にするな」とか「元気出すんだぞ」などという言葉でも返ってくると思っていたのだが、聞こえたのはこれだった。
「じゃ、おやすみ。私が起きたら『ドワフリア』に戻るからな」
「はっ? 寝るのかよっ?」
と思わず振り向く俺。
やっちまったと焦ったのも束の間、カルロッテは体を拭くようにと渡したハンカチの上で寝息を立てていた。――ちゃんと服を着て。
色々と早っ!!
「……俺も寝とくか。また『ドワフリア』で大暴れするかもだしな」
俺はベッドに横になる。
でもすぐに起きて、カルロッテに顔を近づけると囁いた。
「『ドワフリア』は必ず救ってやるからな。引きこもりでも一応勇者だからさ」
俺は今度こそベッドへと入る。
無意識の深淵へと落ちたのはすぐだった。
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