第6話 ~女子と二人でプリクラ撮るのは初めてかもしれない~

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 まただ。  また既視感(デジャビュ)が脳裏を過った。  前回よりもはっきりと、それも愁いを帯びたような表情のカルロッテ。    いや、でもこれはカルロッテじゃない……?  なのになぜ、俺はこの幼い女の子をカルロッテだと思っているのだろうか――。  あれ?  そこで俺は気づいた。  俺の胸ポケットの中にいるはずのカルロッテが、いなくなっていることに。  「カ、カルロッテっ? おいっ、どこに行った、カルロッテッ!!」  カルロッテは指人形よりも小さい。  そんな奴が床をうろうろとして、もしも誰かに踏まれようものなら――。  ゾワッと肌が(あわ)立ったところで、近くのUFO(ユーホー)キャッチャーから喚声が上がる。  思わずそちらに視線を向けた俺は、仰天した。    UFOキャッチャーのアームに挟まれて、子供にゲットされているカルロッテがいた。    その光景を、目を見開いてスマートフォンで撮影している母親。  ジタバタと暴れるカルロッテはやがて穴に落ちて、緩衝(かんしょう)材の上でポンと跳ねる。  刹那、俺は100円玉を子供に握らせると、カルロッテを取り出し口から引っ張り出して、ゲーセンからダッシュで退避。  母親の叫び声が聞こえたが、当然無視した。 「お前、何ゲットされてんだよっ! どうやって中に入ったか知らないけど、UFOキャッチャーで異星人が捕獲されるとか、どんなギャグだよっ!」  走りながら俺はカルロッテに聞く。 「巨人が開けた瞬間を狙って入ったのだ。なんか楽しそうだったから。でもつかまるとは思わなかったぞ。ハハ」  ……笑い事じゃねーぞ。  その日、俺の部屋に戻ってパソコンでニュースを見ると、「YAFOO(ヤフォオオ)!ニュース」のトップページにカルロッテの記事及び動画があった。  おそらく動画を撮った母親がSNSで投稿したのち、バズって即ニュースへとなったのだろう。  ――笑った。  俺は、腹を抱えてすげー笑った。  冷静に見れば、滑稽(こっけい)としか言いようのないその光景に。  すると、自分のことなのにカルロッテも笑いだす。  その後、二人でバカみたいに笑い続けていた。  こんなに笑ったのは、本当に久しぶりだったような気がする。
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