13人が本棚に入れています
本棚に追加
第7話 ~もしかして生まれて始めての恋かもしれない~
『巨窟ゴリアテ』
それが次なる魔王軍拠点のターゲット。
場所は前日にカルロッテに聞いた通り、『ミゼットガルド』を東へ進んださきの、渓谷の中にあった。
周囲には霧が立ち込めており、視界が悪い。
風を発生させるための、団扇でも持ってくればよかったかもしれない。
俺は『巨窟ゴリアテ』を覗ける崖の影に隠れると、本日のアイテム一発目をズボンのポケットから取り出す。
「さてと、ことを始める前に……まずはカルロッテ。予定通りお前をこの中に入れて密閉する」
お馴染みとなった、“胸ポケットのカルロッテ”をつまみ上げると、俺は防音効果を高めた丸いトイカプセルの中に入れた。
「す、すぐ終わるんだよな? だってこれ空気穴付いてないし、時間が経つと窒息死するかもだし」
不安そうなカルロッテ。
俺はその顔を見た途端、何か形容できないものが背筋を伝うのを感じた。
つまり、カルロッテをいじめたくなっていた。
「大丈夫だ、カルロッテ。――半日くらいで済むから」
「半日っ!? そ、そそ、そんなに入っていたら死――」
俺はそこでカプセルを閉じると、 ズボンのポケットに放り込んだ。
――はは、嘘だけどな。5分もあれば、多分終わるさ。
2発目のアイテムである拡声器のスイッチを入れた俺は、堂々たる歩みで『巨窟ゴリアテ』の門へと足を運ぶと、その拡声器を使って思いっきり叫んでやった。
最初のコメントを投稿しよう!