第7話 ~もしかして生まれて始めての恋かもしれない~

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 ▽▲▽    その日もカルロッテは俺に付いて地球にやってきた。  反対する理由などない。むしろ来てほしい俺はそれを嬉しく思っていた。    カルロッテとは動物園に行った。  自分よりはるかに大きい動物を見ては、表情豊かに驚きの声を上げるカルロッテ。  そんなカルロッテを見ている時間のほうが、動物を見ている時間より長かったような気がする。  それからも異世界『ドワフリア』と地球の行き来は続いた。  午前に『ドワフリア』で魔王軍の拠点を破壊して、午後は地球で遊ぶ――。  それはいつだって俺とカルロッテの二人っきりだった。  巨人と小人。  だけど少年と少女であることに違いはなくって、そこに特別な感情が生まれたっておかしくはない。  少なくとも俺は――……。 「ねえ、かなめ」  胸ポケットのカルロッテが声を掛けてくる。 「ん?」  電車に乗っている俺とカルロッテ。  のんびりできる河川敷に行った帰りだった。  空いている時間帯なのか、乗車している車両には俺のほかに乗客は二人しかいない。  対面する座席で寄り添って眠る若いカップルがそれだった。 「私がもしかなめと同じ大きさだったら、あんな感じなのかな。……あんな風にかなめと肩を寄り添ったりするのかな」 「なんかどっかで聞いたような気がするな、それ」 「うん。同じこと聞いてる。だからもう一度答えてほしい」  真意が読み取れない。  カルロッテはどう答えてほしいのだろうか。  ……いや、そうじゃない。  俺の思っている気持ちを、素直に言葉に乗せればいいだけのことなんだ――。    だから言った。 「カルロッテが嫌じゃないのなら、俺は寄り添いたい」  少しの間。  するとカルロッテは口にした。   「嫌じゃない。私も同じ気持ちだから」 「良かった」 「……――だったらいいのにな」 「え?」 「同じ大きさだったらいいのにな。もしそうなら――」  そのとき、電車のアナウンスが最寄りの駅に着いたことを知らせる。  アナウンスにかき消されそうなその声だったけど、俺は聞き逃すことはなかった。    ……――もっと幸せだったと思うから……――。      カルロッテの紅色に染めた頬が見えるかのようだった。  ……ああ、これマジなやつだ。  生まれて初めての本気の恋。  俺はどうやらその相手に、人間ではない小人を選んでしまったようだった。
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