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――そのとき。
「むっ。あれは魔王っ!! 奴は『ミゼットガルド』の王女である私が倒すッ。やあああああああッ!!」
『魔王城』の中にいると思っていた魔王。
その魔王が外にいたらしく、見つけたカルロッテが右手に剣を構えて左方へと飛翔していく。
カルロッテの向かう先。そこには、真っ黒いドラゴンに乗った赤い鬼のような生物――魔王がいた。
カルロッテの三倍ほどの大きさである魔王。
その魔王の乗るドラゴンの口の中に禍々しい炎を認めたとき、俺は胸のざわめきから叫んでいた。
「待て、カルロッテっ、そいつに近づくなッ!!」
しかし、聞こえていないのかカルロッテは止まらない。
刹那、ドラゴンの吐く凄まじい猛炎がそのカルロッテに襲い掛かる。
間一髪で避けるカルロッテ。
――だったのが、避けた先にいたモンスターと激突してその身を宙に投げた。
「カルロッテっ!!」
俺は手を伸ばして、カルロッテをなんとか受け止める。
その間、魔王軍の攻撃が俺の体を痛めつけるが、気にしている暇などなかった。
「おい、カルロッテっ! カルロッテッ!!」
声を掛けるが、カルロッテは身動き一つしない。
まさか――という“最悪の事態”が頭を横切ったとき、俺の中にかつてない怒りが溢れた。
近づくモンスターを捕まえてグシャリと握りつぶすと、喉の奥から声をしぼり出す。
「……てめーら、絶対許さねえからな。一体残らずぶちのめしてやる――ッ」
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