13人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 ~本当は赤がいいけど別にピンクでもいい~
「おい、それは答えになってないぞ。この巨人の悪魔めっ、私の質問に答えないのならこの剣を首に刺してやる」
ところどころに装飾品の付いた、豪奢なピンクのドレス。
アクティブに動き回れるためなのかそれは膝上仕様であり、露出した足は純白のタイツで覆われている。
そして頭に付けた花カチューシャは、長く艶やかな金色の髪の毛を引き立てるのに一役買っていて――。
つまり、小人女は、この異世界の王女を思わせた。
そんな彼女は構えていた剣を振り上げると「答えはなしか。――ならば死ねっ」と前方にジャンプする。
着地と同時に、振り上げている剣を俺の首に突き刺す気らしい。
剣はつまようじ並の大きさだが、刺されば多分死ぬ。
幸い命が助かってもめっちゃ痛い。
そこまでの思考に0・5秒。
俺は次の0・5秒で文言をひねりだすと、叫んだ。
「待てえええええっ、俺は地球に住む17歳の高校生望月かなめ、女神様の召還でこちらの世界にやってきた勇者ですッ!!」
「うわっぷっ!」
後方に飛ぶ小人女。
どうやら俺が叫んだ際の風圧で飛ばされたようだ。
ドレスがめくれていて、純白のタイツの上のパンツが見える。
色はドレスと一緒でピンクだった。
「いつつ……。め、女神様の召還でやってき勇者だと――?」
小人女が俺の胸の上で立ち上がると問う。
実際のところそこは完全なる憶測だが、[異世界に行く=女神様の召還]という図式が当たり前な俺にとって、それは自然と出た言葉だった。
「あ、ああ、そうだ。だから早くこの拘束している縄を解いてくれ」
無言の小人女が暫しの間、疑念の瞳で俺を睨み付ける。
やがて横に向けると、彼女は言った。
「女神フラーファよ。この巨人の言っていることは本当か?」
――と。
最初のコメントを投稿しよう!