第1章

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眼球が無い。さらに、頬の肉は削げ落ち、骨まで見えかかっていた。 私の悲鳴に気付き、梨花が振り向く。 「あーあ。お母さんに取られちゃった」 その言葉を理解する前に、両肩にずしりと重みが伝わる。 ガリガリに痩せた両腕を首元にまわし、後ろからおぶさるように抱き着く子供。 すぐ側に、骨が剥き出しになった顔を見て、またも悲鳴をあげる。 そんな私の姿を見ながら、梨花は口を開く。 「その子ね。始めて天井裏に入ったら、見つけたの。初めは怖かったけどね、一緒に遊んでたら、怖くなくなっちゃった。」 「けどね、お母さんが怖がり出したから、今度から、お母さんについていくねって」 両肩にかかる重みと、梨花からの発言を聞いて、覗き見た自分の行動を、今更ながら後悔した。
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